1. 「なので」を意味する7つの単語と2つのグループ
英語で「なので」(だから)を意味するメジャーな表現にはbecause, since, as, so, therefore, thus, henceの7つがあります。これらは文中で理由と結果を結びつける働きをしているのですが、その使われ方から次のような2つのグループに分けることが出来るんです。
後ろに理由が続く | 後ろに結果が続く |
because, since, as | so, thus, therefore, hence |
この表だけだと少し分かりづらいので、「なので」を意味するbecauseとsoの例文を比較してみましょう。
結果 | 理由 |
She is angry with me 彼女は僕に怒ってるんだ | because I ate her cake. 僕が彼女のケーキを食べたので。 |
理由 | 結果 |
He is not satisfied, 彼は満足していない | so we must prepare a new proposal. なので新たな提案を準備しなくてはいけない。 |
1つ目の文ではbecauseの後ろに彼女が怒っている理由が述べられているのに対して、2つ目の文ではsoの後ろに彼が満足していない結果が述べられていますよね。
「なので」を正しく使い分けるためには、まずはこのグループ分けをしっかりと意識しておきましょう。
2. because, as, sinceの使い分け
「なので」を表す英単語の1つ目のグループ、because, as, sinceの使い分けを確認していきましょう。少しだけ文法的な解説をすると、これらの語は接続詞と呼ばれ理由を表す従属節を導く働きがあります。実際に使用する際には後ろに理由が続くという点に注意しておけば大丈夫です。まずはそれぞれの例文を見てみましょう。
結果 | 理由 |
She is angry with me 彼女は僕に怒ってるんだ | because I ate her cake. 僕が彼女のケーキを食べたので。 |
She decided to go to the conference in Paris, 彼女はパリの会議に行くことにした | as she was in France anyway. 結局彼女はフランスにいたので。 |
Dunga coaches his team by phone, ドゥンガは電話でチームを指導している | since many of them play in foreign leagues. 彼らの多くは海外リーグでプレイしているので。 |
2.1. becauseの使い方
becauseはasやsinceと比べて話し言葉でも書き言葉でもより一般的に用いられます。becauseを使う場合、結果よりも理由が強調されます。
1. He spoke quietly because he didn’t want Mary to hear.
彼は静かに話しました、なぜならメアリーに聞かれたくなかったからです。
2. We’ll come over on Sunday because David’s got to work on Saturday.
僕らは日曜日に来るよ、なぜならデイビッドは土曜日に仕事だから。
ここでは日本語として自然な表現になるように「なので」ではなく「なぜなら」と訳しています。1の文も2の文もbecauseの後ろに理由が続いていますね。理由の部分をもっと強調したい場合にはbecauseを文の先頭に持ってくることが出来ますが、その場合には節(理由の部分)の終わりにコンマが必要になります。
3. Because breathing is something we do automatically, we rarely think about it.
呼吸は我々が自動的にすることなので、滅多に意識することはありません。
1~3の文のようにbecauseはふつう結果とセットで用いられて、because単体で文を作ることはできません。しかし、話し言葉やフォーマルではない書き言葉の中ではbecauseを使って理由だけを伝えることがよくあります。
A: Would you like to go to school there?
A: 君はあの学校に行きたいの?
B: Yes.
B: うん。
A: Why?
A: どうして?
B: Because my best friend goes there. (I would like to go to school there because my best friend goes there.)
B: だって僕の親友がそこに行っているから。(僕はその学校に行きたい、だって僕の親友がそこに行っているから。)
このようにbecauseを使って理由だけを伝えることは文法的には正しくないので論文やエッセイのようなフォーマルな文章の中ではこのような使い方はできません。
正: In 1998, the government introduced a new import tax because people were importing cars from abroad.
誤:In 1998, the government introduced a new import tax. Because people were importing cars from abroad.
1998年、政府は新たな輸入税を導入した、なぜなら市民が国外から自動車を輸入していたからである。
2.2. becauseの短縮形cuzとcus
becauseは会話やSNSではcuz, cusという形に短縮されることが一般的です。アメリカ英語では「cuz」イギリス英語では「cus」を使うことが多いです。「cuz」の発音は「cause」と同じでカタカナの「コーズ」に近いです。
I’m laughing cuz I’m so happy.
僕は笑っているんだ、気分がいいからね。
もちろんフォーマルな表現ではないので使う場面や相手はよく考えましょう。
2.3. asとsinceの使い方
becauseが理由を強調しているのに対して、asとsinceはどちらかといえば結果を強調するという働きがあります。また、becauseよりはややフォーマルな表現です。文の作り方はbecauseと同じですがsinceの前にはコンマを打つことが一般的です。
1. I hope they’ve decided to come as I wanted to hear about their Japan trip.
彼らが来ることを決めてくれていたらいいのに、日本旅行の話を聞きたいから。
2. They’re rather expensive, since they’re quite hard to find.
それらはとんでもなく高い、だってすごく見つけにくいから。
1の文も2の文もasとsinceの後ろに理由が続いていますが、話し手は「彼らに来てほしい」、「それらが高い」という結果の方を重視しているというニュアンスがあります。
asとsinceもbecauseと同様に、文の先頭に持ってくることが出来ます。その場合にも節(理由の部分)の終わりにコンマを打ちましょう。
Since everything can be done from home with computers and telephones, there’s no need to dress up for work any more.
何もかもパソコンと携帯を使って自宅で出来るので、もはや仕事のために身だしなみを整える必要はありません。
As everyone already knows each other, there’s no need for introductions.
全員がお互いを知っているので、紹介の必要はありません。
2.4. 理由をうかがう疑問文ではbecauseを使う
becauseは理由を強調してasとsinceは結果を強調するというニュアンスがあります。なので、理由を推測する疑問文ではbecauseを使いましょう。
正: Are you feeling ill because you drank too much?
飲みすぎたから気分が悪いの?
誤: Are you feeling ill since you drank too much?または…as you drank too much?
3. so, thus, therefore, henceの使い分け
続いて「なので」を表す2つめのグループso, therefore thus, henceについて見ていきましょう。実はこの4つの英単語の意味はほとんど同じなんです。therefore, thus, henceは論文やエッセイなどフォーマルな書き言葉で用いられる単語なので、日常会話はほとんどsoしか使われません。
3.1. thusとsoの使い方
thusとsoの最大の違いは品詞です。soはbecause, as, sinceと同じ接続詞であるのに対して、thusは副詞と呼ばれます。難しく思われるかもしれませんが、要するに文の作り方が少しだけ違うのです。例文を見ていきましょう。
He is not satisfied, so we must prepare a new proposal.
彼は満足していない、なので我々は新たな提案を準備する必要がある。
soの後ろに結果が続いているのが分かりますね。soの前には必ずコンマを打つ必要があります。soの代わりにthusを使う場合少しだけ文の作りが変化します。
正: 1.He is not satisfied. Thus, we must prepare a new proposal.
正: 2.He is not satisfied; thus, we must prepare a new proposal.
正: 3.He is not satisfied, and(,) thus(,) we must prepare a new proposal.
誤: 4.He is not satisfied, thus we must prepare a new proposal.
thusを用いる場合には1,2の文のようにピリオド(.)かセミコロン(;)で一度文を区切るか、3のようにand等ほかの接続詞を前に置く必要があります。4の文の作り方は不適切なので注しましょう。
1,2のようにthusは後ろにコンマを打つことが普通ですが、3の文のようにコンマが三つ連続すると不自然なので前後どちらかのコンマを取ることが出来ます。
小難しい話になってしまいましたが、soは「コンマの後ろ」、thusは「ピリオドの後ろ」と覚えておけばだいたいオッケーです。
3.2. henceの使い方
henceもthusと同じく副詞なので、一度文を区切ってから使用しましょう。thusと違ってhenceの後ろのコンマは省略されることがよくあります。
He is not satisfied. Hence(,) we must prepare a new proposal.
henceもthusも意味はほとんど同じで、日本語にすると「なので」になりますが、henceは科学の論文など専門性の高い分野の書き言葉として好んで用いられるという点がthusと少し異なります。日常で使うことはほとんどありません。
3.3. thereforeの使い方
最後にthereforeを見ていきましょう。thereforeもthusやhenceと同じく副詞なので、一度文を区切ってから、文の先頭に置かれます。thereforeは前後の文が論理的なつながりを重視するという点がthus, henceとは異なります。
The two lines intersect. Therefore, they are not parallel.
二本の線は交わる。なので、それらは平行ではない。
論理的なつながりが無かったり、弱かったりする場合にはthereforeではなくsoを使う方が自然です。
正: The trip was cancelled, so I visited my grandma instead.
誤: The trip was cancelled. Therefore, I visited my grandma instead.
旅行が中止になった。なので、代わりに祖母を訪ねた。
日本語にするとどちらも「なので」になるのですが、「旅行が中止になったこと」と「代わりに祖母を訪ねたこと」は論理的につながっていませんよね。したがってthereforeではなくsoを用いることが自然です。
4. 7つの「なので」のまとめ
文法的な解説も入って少し長くなってしまいましたが、最後にポイントを整理しておきましょう。
英語に「なので」を表す単語はbecause, as, since, so, therefore, thus, henceの7つがあり、2つのグループに分けられます。
後ろに理由が続く | 後ろに結果が続く |
because, as, since | so, therefore, thus, hence |
- becauseは理由を強調してasとsinceは結果を強調します。
- asとsinceはbecauseよりフォーマルな表現です。
- becauseは会話の中ではcuzやcusという短縮形になることが多いです。
- 理由を尋ねる疑問文ではbecauseを用います。
- soは接続詞、therefore, thus, henceは副詞です。
- soはコンマの後ろに置き、therefore, thus, henceはピリオドまたはセミコロンの後ろに置きます。
- therefore, thus, henceはフォーマルな書き言葉なので、会話ではsoを使うことが一般的です。
5. おわりに
以上、今回の記事ではよく使われる7つの「なので」の使い分けについて解説してきました。皆さんも是非正しい使い方をマスターして、ビジネスで、会話で活用してみてください!